Rewards and challenges
パイロットのやりがいとは?
大変なことと仕事の魅力
憧れが強いほど、良い話だけでなく本当のところも知っておきたいものです。仕事の喜びと、長く続く苦労の両方を一緒に確かめていきましょう。
結論
パイロットのいちばんのやりがいは、たくさんの人の命と旅を預かり、毎回のフライトを無事に終えたときの達成感です。そのぶん、資格を取得したあとも審査や航空身体検査に合格し続け、不規則な勤務の中で体を整えるという大変さが、ずっと続く仕事でもあります。
憧れの仕事だからこそ、良い面だけでなく、つらい面も知ったうえで目指したいと考える人は多いはずです。本記事では、パイロットのやりがいと仕事の魅力、なるまでとなってからの大変なこと、やりがいを感じやすい人まで紹介していくので、自分の気持ちを確かめる参考にしてみてください。
What makes being a pilot rewarding
パイロットのやりがい
空の上の仕事には、そこでしか味わえない喜びがいくつもあります。ここでは、編集部が特に大きいと考える5つを紹介します。
1. 無事にフライトを終えたときの達成感
出発前に天気や経路、機体の状態を確かめ、離陸してから着陸するまで、操縦席で気を抜ける時間はほとんどありません。揺れを避ける高度を選び、管制官とやりとりを重ねながら、機長と副操縦士の二人で一つの便を目的地まで運びます。
飛行機が駐機場に止まり、お客さまが機体を降りていったとき、ようやくその緊張がほどけます。一便ごとに始まりと終わりがはっきりしていて、その日の仕事をやり遂げたことを毎回実感できるのは、この仕事ならではです。天気が荒れた日や、予定どおりに進まなかった日ほど、無事に終えたときの安堵は大きくなるでしょう。
編集部は、この「今日も無事に届けられた」という手ごたえこそが、次の便へ向かう力になっていると考えています。
2. 信頼されて任される責任
旅客機に乗る人の多くは、操縦席に誰が座っているかを知らないまま、安心して眠ったり、窓の外を眺めたりしています。その安心は、パイロットへの信頼があって初めて成り立つものです。
命を預かる責任は重く、プレッシャーを感じない人はなかなかいません。それでも、厳しい訓練と審査を越えた人だけに任される仕事だからこそ、その重さは誇りにもなります。家族旅行、出張、久しぶりの帰省。一つの便には、乗っている人の数だけ大切な予定が詰まっています。その一つひとつを支えているという実感は、ほかの仕事ではなかなか得られないものです。
3. 操縦する喜びと空からの景色
大きな旅客機を自分の手で動かし、滑走路を離れる瞬間の高揚感は、飛行機が好きな人にとって何にも代えがたいものです。自動操縦の機能が充実したいまも、どの機能をいつ使うかを決め、飛行機を思いどおりに動かすのはパイロットの判断と技量です。
操縦席の窓の外には、雲の上に昇る朝日、夕焼けに染まる雲海、夜の街の灯りなど、地上では見られない景色が広がります。同じ空港へ向かう便でも、季節や時間、天気によって見える空は毎回違います。この景色を特等席から眺められることも、パイロットだけが味わえる喜びです。
4. 学び続けて腕が上がる
パイロットの学びは、資格を取得したら終わりではありません。乗務を続けながら定期的に訓練を受け、技量を確かめる審査に臨み、機種を移るときには新しい機体の操縦を一から身につけます。その先には、機長という長い目標もあります。
学ぶことが多いのは大変ですが、裏を返せば、何年たっても自分の成長を感じられる仕事だということです。前より滑らかに着陸できた、難しい天気の中でも落ち着いて判断できた。そうした小さな手ごたえを積み重ねながら、自分の腕が上がっていくのを実感できます。
5. チームで飛ばしている
一つの便を飛ばすには、操縦席の二人だけでなく、客室乗務員、整備士、運航管理者、管制官など、たくさんの人がかかわっています。パイロットは、その人たちと情報を交わしながら、安全という同じ目標に向かって力を合わせます。
操縦席では、機長と副操縦士が互いの操作を確かめ合い、気づいたことを声に出して伝え合います。立場や経験に差があっても、言うべきことを言える関係をつくることが安全につながるからです。訓練の時期をともに乗り越えた同期も、パイロットにとってかけがえのない仲間になるでしょう。
The appeal of working as a pilot
パイロットの仕事の魅力
仕事そのものの喜びに加えて、世界のさまざまな街を訪れられること、誇りをもって働けること、待遇の良さも、この仕事を選ぶ魅力です。
国際線に乗務すると、到着した街のホテルで体を休めてから、帰りの便で日本へ戻ります。現地の街を歩いたり、その土地の料理を味わったりできるのは、国際線のパイロットならではの楽しみです。国内線でも、泊まりをはさむ勤務で各地の街に滞在することがあります。
憧れる人が多い仕事に就き、たくさんの人の旅を支えていることは、働く励みになります。制服に袖を通して操縦席に向かうたびに、ここまで努力してきた自分を誇らしく思えるはずです。
待遇の面では、専門性と責任の重さから、給与は一般に高い水準にあります。(会社や立場、経験によって違います。)年齢や立場による違いは、パイロットの年収の記事で紹介しています。
Challenges on the way to becoming a pilot
パイロットになるまでの大変なこと
パイロットになるまでには、長い訓練と国の試験、航空身体検査、そして費用という大きな壁があります。どれも簡単ではありませんが、前もって知っておけば準備ができます。
訓練と試験
操縦の資格は、国の学科試験と実地試験に合格して取得します。学科では航空工学や航空法規など幅広い知識が問われ、実地試験では国の試験官の前で操縦の技量を示します。(航空大学校や国が指定した養成施設を修了した人は、実地試験が行われなかったり免除されたりします。)その後も機種ごとの訓練と審査が続き、副操縦士として乗務を始めるまでには何年もかかります。
訓練では、決められた水準に届かなければ先へ進めないこともあります。だからこそ、毎日の予習と復習を欠かさず、分からないことをそのままにしない姿勢が求められます。資格の種類や取得する順番は、パイロットの資格の記事で紹介しています。
航空身体検査
旅客機のパイロットを目指すなら、第1種の航空身体検査に合格しなければなりません。多くの学校や会社では、出願や選考の段階で、第1種の基準に適合しているかを確かめる身体検査があります。視力や聴力、心臓、血圧など、全身にわたって国の基準が定められています。
努力だけではどうにもならない項目もあるため、目指すと決めたら、早めに自分の体の状態を確かめておくと安心です。視力の基準や検査項目は、パイロットの航空身体検査の記事でくわしく紹介しています。
費用面
自分で学校に通って資格を取得する場合、学費と訓練費は大きな負担になります。いっぽう、航空会社に社員として入って訓練を受ける自社養成なら、給料を受けながら資格を取得できます。
どの方法を選ぶかで、費用も年数も大きく変わります。お金がないからとあきらめる前に、パイロットになるにはの記事で方法ごとの違いを比べてみてください。
Challenges that continue after becoming a pilot
パイロットになってから続く大変なこと
パイロットの大変さは、なった時点で終わるものではありません。審査と航空身体検査に合格し続けること、不規則な勤務と時差、家を空ける日があることは、乗務を続ける限りついて回ります。なる前にはあまり語られないことですが、知っておけば備えられます。
定期の審査と航空身体検査に合格し続ける
エアラインのパイロットは、技量を保つための定期訓練と、技量を確かめる定期の審査を、国の決まりで少なくとも年に1回受けます。旅客機のように二人で操縦する便のパイロットは、航空身体検査証明の有効期間が60歳未満なら1年、60歳以上なら半年です(航空法施行規則 第61条の3)。審査や航空身体検査に合格できなければ、その間は乗務できません。
ベテランになっても試され続けるのは緊張することですが、この仕組みがあるからこそ、乗客は安心して飛行機に乗れます。日ごろから勉強を続け、睡眠や食事、運動で生活を整えておくことが、いちばんの備えになります。
不規則な勤務と時差
パイロットの勤務はシフト制で、早朝に家を出る日も、夜通し飛ぶ日もあります。国際線では時差のある国を行き来するため、体のリズムを整える工夫が要ります。
ただ、乗務できる時間の上限や、勤務と勤務のあいだにとる休養の長さは、国の基準で定められています。時差の大きい国から帰ったあとには、体を戻すための休養が上乗せされます。与えられた休養の時間をどう使うかを自分で考え、眠れるときにしっかり眠る習慣をつけることが、この仕事と長く付き合うための工夫です。休みの決まり方や1日の流れは、パイロットの働き方の記事で紹介しています。
家を空ける日がある
泊まりの勤務がある月は、家で過ごせない夜が何日もあります。家族の誕生日や子どもの学校行事と乗務が重なり、さみしい思いをすることもあるでしょう。
そのかわり、勤務表は前もって分かるので、休みに合わせて家族の予定を立てられます。長い乗務から戻ったあとにまとまった休みが続けば、家族とゆっくり過ごせますし、大切な日には年次有給休暇を取得する方法もあります。
なってから続く大変さを並べると、気が重くなったかもしれません。それでも、審査に合格するたびに自分の腕を確かめられ、一便を無事に終えるたびに達成感があります。大変さとやりがいは、同じ仕事の表と裏です。
Who finds the most reward in being a pilot
パイロットのやりがいを感じやすい人
責任を重荷ではなく誇りと受け止められる人、学び続けることを楽しめる人、仲間と力を合わせるのが好きな人は、パイロットのやりがいを感じやすいでしょう。
訓練や審査を、試される場ではなく腕を上げる機会と考えられる人は、何年たっても成長を楽しめます。立場の違う人の意見に耳を傾けられる人は、チームで飛ぶ心強さを感じられるはずです。
もちろん、最初からこうした力がすべてそろっている人はなかなかいません。どれも訓練と経験の中で育っていくものです。いまの自分に足りないと感じても、空や飛行機が好きだという気持ちがあれば、それが出発点になります。
Summary
まとめ
パイロットの仕事には、達成感や責任、操縦する喜び、成長、仲間といったやりがいがあり、そのいっぽうで、なるまでもなってからも試され続ける大変さがあります。
大変さを知って、少し不安になった人もいるかもしれません。けれども、ここで紹介した大変さは、どれも乗客の安全を守るための仕組みから生まれているものです。厳しさがあるからこそ、一便を無事に終えたときの達成感は大きく、その積み重ねが誇りになります。
編集部は、大変さを知ったうえで「それでも飛びたい」と思えたなら、その気持ちを大切にして挑んでほしいと思っています。雲の上に昇る朝日は、挑み続けた人だけが操縦席から見られる景色です。
FAQ about the rewards of being a pilot
パイロットのやりがいのよくある質問
Q. パイロットの仕事はつまらない?
編集部は、つまらない仕事ではないと考えています。同じ路線を同じ時刻に飛んでも、天気も、空の混み具合も、乗っているお客さまも、一緒に乗務する仲間も毎回違います。自動操縦に任せる時間があっても、先の天気を読み、次の判断に備える作業は続きます。同じ便は二度とない、と感じられる人にとっては、飽きることの少ない仕事です。(決まった手順を正確に繰り返す場面も多いため、変化の少なさを退屈に感じる人もいるかもしれません。)
Q. 国際線のパイロットはきつい?
国際線には、国内線には無い時差が加わります。(国内線には、1日に何便も乗り継ぐ別の忙しさがあります。)そのかわり、長距離の便には3人や4人のパイロットが乗り、交代で操縦席に座ります。そして、到着地や帰国後には時差に応じた休養がとられます。現地で体を休めながら知らない街に触れられるのは、国際線ならではの楽しみです。
Q. 機長と副操縦士でやりがいは違う?
どちらも同じ操縦席で一つの便を飛ばす仲間ですが、立場によってやりがいの中心は少し変わります。機長は、その便の安全について最終的な判断を下し、乗務員全員をまとめる立場です。副操縦士は、機長と操縦を分担しながら判断を支え、経験を積んでいく時期です。機長になるには上位の資格である定期運送用操縦士を取得する必要があり、そこを目指して腕を磨く日々そのものが、副操縦士のやりがいになります。
Q. 年収もやりがいになる?
なります。責任の重さや専門性に見合った待遇は、厳しい訓練を乗り越え、学び続けるための励みになるでしょう。ただ、審査や航空身体検査に合格し続け、不規則な勤務と向き合っていく毎日を支えるのは、お金だけではありません。編集部は、空を飛ぶ喜びと、たくさんの人を無事に送り届ける誇りこそが、パイロットを長く飛び続けさせる力だと考えています。その気持ちを胸に、憧れの操縦席を目指してください。
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パイロットの仕事の全体像は、パイロットとはの記事でまとめています。
