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Airline cadet pilot

自社養成パイロットとは?
倍率・応募条件・落ちたときの道

自分も挑戦できるのか、気になっている人へ。応募の条件や選考の流れ、落ちたときの次の一手まで、受ける前に一緒に確かめておきましょう。

結論

自社養成パイロットとは、操縦の資格を持たないまま航空会社に入り、社員として給料を受けながら訓練を受けてパイロットになる人のことです。学校で資格を取るような大きな学費はかからず、大学を卒業する人なら文系でも目指せる一方、採用される人数は大手でも1社に数十人ほどの狭き門です。

本記事では、どんな会社が採用しているのか、倍率はどれくらいか、応募の条件や選考の流れ、落ちたときの次の一手まで、順番に見ていきます。

What is an airline cadet pilot?

自社養成パイロットとは?

自社養成とは、航空会社が操縦の経験がない人を社員として採用し、自分の会社で一からパイロットに育てる制度です。入社する前に、操縦の資格や航空関連の専門知識は求められません。

学校で先に資格を取ってから航空会社に就職する道と比べてみましょう。

自社養成学校で資格を取る道(航空大学校・私立の大学など)
立場航空会社の社員学生
費用給料を受けながら訓練。訓練費の負担は会社ごとに違う学費と訓練費を自分で用意する
就職先に入社が決まり、そのあと訓練訓練のあと、航空会社の採用試験を受ける

いちばんの違いは、お金と立場です。私立の大学や専門学校では訓練費を含めると2,000万円を超えることが多いのに対し、自社養成は社員として給料を受け取りながら訓練を受けられます。

ただし、訓練費を会社がどこまで持つかは、多くの会社の募集要項に書かれていません。会社と本人で分けて払う制度や、海外での訓練の費用を本人が払う制度の会社もあるので、応募する前に確かめておきましょう。

Airlines that hire cadet pilots

自社養成パイロットを採用している航空会社

自社養成をしているのは、主に大手の航空会社とそのグループの会社、それに一部の地域の航空会社です。パイロットを一から育てるには長い年月と大きなお金がかかるため、それができる会社は限られます。

たとえば、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、スカイマーク、グループの会社のANAウイングスやジェイエア、北海道のAIRDOなどが、自社養成の募集要項を出してきました。格安航空会社(LCC)のPeachも、独自の制度を持っています。

ただ、募集をするかどうかや、何人を採るか、どんな条件で採るかは、会社ごとに違い、年ごとに変わります。前の年に募集していた会社が次の年は募集しないこともあるので、応募する年の採用サイトと募集要項で確かめてください。

How competitive is it?

自社養成パイロットの倍率はどれくらい?

はっきりした倍率は分かりません。大手の会社も、何人が応募したかは出していないからです。

採用の予定は、大手でも1社に数十人ほどで、グループの会社や地域の会社では「若干名」と書かれることが多くあります。国の資料でも、自社養成で新しく加わるパイロットは、直近5年の平均で年に99人ほどです(出典:国土交通省「航空大学校の養成に関する検討会」第2回 資料1)。自社養成から新しくパイロットになる人は、日本全体でも年に100人ほどです。

では、ネットでよく見る「100倍」「数百倍」といった数字は何なのでしょうか。編集部が調べた範囲では、会社や国の発表といったたどれる出典はありませんでした。応募者の数が公表されていない以上、誰かが推し量った数字と受け止めておくのが安全です。

だから、倍率の数字に一喜一憂しなくて大丈夫です。選ばれるかどうかを決めるのは、適性検査や身体検査、面接であなた自身がどう見られるかです。倍率は自分では変えられませんが、英語の力も、体の調子も、面接で話す自分の言葉も、いまから準備できます。力はそちらに使いましょう。

Requirements: education, age, English and eyesight

自社養成パイロットの応募条件(学歴・年齢・英語・視力)

多くの会社で、大学を卒業すること、英語の力があること、国の身体検査に通る体であることが求められます。細かい条件は会社ごとに違うので、ここでは共通する考え方を見ていきます。

学歴

大手の会社は、4年制大学か大学院を卒業する人を主な対象にしています。短大や高専、専門学校を卒業する人が応募できる会社もあります。学部や学科を問わない会社が多く、文系の人も応募できます。入社してから一から教える制度なので、入る前に理系の専門知識は求められていないのです。

年齢

年齢の上限を決めていない会社もあれば、年齢や卒業してからの年数で区切る会社もあります。区切る会社があるのは、時間とお金をかけて育てたパイロットに、長く飛んでもらうことを前提にしているからです。

英語

英語の試験を選考に入れたり、点数の目安を示したりする会社が多くあります。管制官との無線のやりとりや外国への路線で英語を使ううえ、訓練の一部を海外で行う会社もあるからです。求められる点数は会社ごとに違うので、TOEICなどの目安は応募する年の募集要項で確かめてください。

視力

裸眼の視力を問わず、眼鏡やコンタクトレンズで矯正できればよいとする会社が多くあります。操縦では計器や外の様子を正しく見ることが欠かせないため、国の身体検査(航空身体検査)と同じか、それより厳しい基準が置かれています。レンズの度数に上限があることや、寝ている間に角膜の形を整えるコンタクト(オルソケラトロジー)を使っていると応募できず、やめてからもしばらくは応募できない会社があることも、知っておきましょう。

先に操縦の資格を取ると応募できない

ここはとても大事なところです。事業用操縦士(仕事として飛ぶための国の資格)を持っていると、自社養成には応募できません。会社によっては、自家用操縦士(お金をもらわずに飛ぶための資格)を持っているだけでも応募できなくなります。自社養成は、操縦の経験がない人を一から育てるための制度だからです。資格を持つ人には、別の採用の入口を用意している会社もあります。「少しでも有利になるように」と先に資格を取ると、かえって自社養成の道を閉じてしまうので気をつけてください。

Selection process

自社養成パイロットの選考の流れ

選考は、エントリーシートなどの書類選考から始まり、適性検査、英語の試験、面接、身体検査と進むのが一般的です。順番は会社ごとに違い、面接は何回かに分かれることが多く、グループワークや、操縦の適性を確かめる飛行適性検査を行う会社もあります。

適性検査では、パソコンを使って、空間をとらえる力やいくつものことを同時にこなす力、反応の速さ、計算や観察の力などを確かめます。身体検査は、国の航空身体検査の基準に沿って行われます。ANAグループなどでは、FCAT(Flight Crew Assessment Test の略)という共通の適性検査に合格すると、グループの会社や提携する会社のパイロット採用の選考に進めるしくみになっています(出典:ANAグループ「イチから分かるFCAT」)。

選考は半年以上かけて進むことが多く、早いものは大学3年生のうちに受付が始まります。気になる会社の採用サイトは、早めにのぞいておきましょう。

Do some universities give you an advantage?

自社養成パイロットになりやすい大学はある?

公表されている情報からは、なりやすい大学があるとは言えません。航空会社は、自社養成で採用した人の出身大学を公表していないからです。

ネットで見かける「出身大学ランキング」は、民間の会社が大学に行った調査などをもとにしたもので、航空会社の発表ではありません。パイロットだけを数えたものかどうかも、はっきりしません。

それより確かなのは、学部や学科を問わない会社が多いことです。理系でなければなれない、ということはありません。

気をつけたいのは、「パイロットになれる大学」には2つの意味があることです。自社養成で採用された人の「出身大学」と、在学中に操縦の資格まで取れる「操縦を学べる大学」は別の話で、後者で事業用操縦士を取ると自社養成には応募できなくなります。操縦を学べる学校は、パイロットを目指せる大学・専門学校の記事で比べています。

From joining the airline to the cockpit

入社してから自社養成パイロットになるまで

入社してすぐに操縦の訓練が始まるとは限りません。最初の1〜2年ほどは、空港などで地上の仕事を経験する会社もあります。航空会社がどう動いているかを、お客さまに近いところから学ぶ時間です。

そのあと、国の資格(技能証明)を取る訓練、副操縦士になるための訓練へと進みます。入社から副操縦士になるまでには、数年かかります。訓練の一部を、アメリカなど海外の訓練施設で行う会社もあります。

この間も、社員として給料を受け取ります。募集要項では、大学を卒業した人の初任給として月20万円台の額が示されています。訓練の間は契約社員として雇い、副操縦士になってから正社員にする会社もあります。

長い道のりですが、同期の仲間と励まし合いながら、一歩ずつ操縦席に近づいていきます。

What to do if you don’t pass

自社養成パイロットに落ちたらどうする?

1回落ちても、パイロットへの道が閉じるわけではありません。編集部は、1回の結果で夢をあきらめてほしくないと思っています。次の手は3つあります。

もう一度受ける

既卒でも応募できる会社や、年齢を問わない会社があり、次の年に受け直すことができます。ただし、受けられる回数に上限がある会社や、身体検査やそれより後の段階で落ちた人は受け直せない会社、一度落ちると段階を問わず受け直せない会社もあります。応募する年の募集要項で確かめてください。

航空大学校や私立の学校に切り替える

年齢の範囲内であれば、国の航空大学校を受けられます。費用はかかりますが、私立の大学や専門学校で学ぶ道も残っています。

自分で資格を取って、資格を持つ人の採用に応募する

フライトスクールなどで事業用操縦士の資格を自費で取り、資格を持つ人を募集している航空会社に応募する道です。航空会社で働いた経験がなくても、資格があれば応募できる募集もあります。ただし、事業用操縦士を取ると自社養成にはもう応募できません。自社養成に挑むのをやめると決めてから進みましょう。

それぞれの道の条件や費用は、パイロットになるにはの記事でくわしく比べています。遠回りに見える道も、ちゃんと空につながっています。

Summary

まとめ

自社養成パイロットは、航空会社の社員として給料を受けながら、一からパイロットに育ててもらえる道です。採用は大手でも1社に数十人ほどの狭き門ですが、学部を問わない会社が多く、文系からも目指せます。条件は年ごとに変わるので、応募する年の募集要項で確かめましょう。

狭い門でも、毎年その門をくぐって操縦席へ向かう人がいます。倍率の数字に心を揺らされるより、英語を磨き、体を大切にし、なぜパイロットになりたいのかを自分の言葉で話せるようにしておくこと。それがいちばん確かな準備です。狭き門でも、挑む価値は十分にあります。

FAQ about airline cadet pilots

自社養成パイロットのよくある質問

Q. 自社養成でパイロットになるまで何年かかる?

大学を卒業して入社してから、副操縦士として飛び始めるまでに数年かかります。機長になるのは、そこからさらに先です。国の資料では、機長に必要な資格を取るまでの期間を11年程度としています。高校生なら、大学の4年を足して考えておきましょう。

Q. 自社養成パイロットの年収は?

入社したときの初任給は月20万円台が示されていて、副操縦士、機長と立場が上がるにつれて大きく伸びていきます。パイロット全体の平均や年齢ごとの目安は、パイロットの年収の記事でくわしく紹介しています。

Q. 既卒や社会人でも応募できる?

応募できる会社があります。既卒の人向けの枠を設ける会社、卒業してからの年数で区切る会社、年齢を問わない会社など、条件は会社ごとに違います。社会に出てから身につけた経験は、面接で自分の強みとして語れます。

Q. 訓練についていけなかったらどうなる?

訓練で資格を取れなかった場合は「原則として退職」と、募集要項のよくある質問に書いている会社があります。地上の仕事に移れるかどうかを公式に説明している会社は、調べた範囲では見つかりませんでした。だからこそ、入社する前から英語をはじめ基礎の勉強をこつこつ続けておくことが、訓練に入ってからの自分を助けてくれます。

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