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Pilot licenses

パイロットの資格は?
種類と副操縦士・機長に必要な免許の一覧

操縦席に座るまでに、どんな資格を、どんな順番でそろえていくのか。試験の中身や年数、費用、取ったあとの更新まで、全体の流れがつかめるようにまとめました。

結論

パイロットに必要とされる資格として、国(国土交通大臣)の「技能証明」という資格があり、旅客機では副操縦士に「事業用操縦士」、機長に「定期運送用操縦士」の取得が必要となります。ほかにも航空身体検査や英語、無線などの証明がいくつか必要ですが、多くは航空会社や学校の訓練の中で順番に取っていきます。

資格の名前がたくさん出てきて、最初は難しく感じるかもしれません。本記事では、資格の種類、エアラインのパイロットに必要な資格全般、取得する順番、試験内容と難易度、年数と費用、取ったあとの更新まで、順に紹介していくので参考にしてみてください。

Types of pilot licenses

パイロットの資格の種類

操縦の資格は、可能となる業務範囲の広さで段階が分かれています。旅客機のパイロットを目指す人がまず知っておきたいのは、次の3つです。

資格できること受けられる年齢必要な飛行時間(飛行機)
自家用操縦士お金をもらわずに飛ぶ(趣味の飛行など)17歳以上40時間以上(航空大学校や国が指定した養成施設では35時間以上)
事業用操縦士仕事として飛ぶ。旅客機の副操縦士や、一人で操縦できる機の機長18歳以上200時間以上(同じく150時間以上)
定期運送用操縦士二人で操縦する旅客機の機長21歳以上1,500時間以上

補足

航空大学校は国が設けたパイロットの学校、指定の養成施設は国が認めた訓練課程を持つ学校や会社です。航空会社によっては、副操縦士になるために「准定期運送用操縦士」という、旅客機の副操縦士に絞った資格を取ることもあります。

出典:航空法 別表(できること)、航空法施行規則 第43条・別表第二(年齢・飛行時間)

下位の資格でできることは、上位の資格にもすべて含まれます。事業用操縦士は自家用操縦士の範囲に「報酬を受けて飛ぶこと」が加わり、定期運送用操縦士はさらに「旅客機の機長」が加わる、という関係です。

よく「パイロット免許」と呼ばれますが、法律上の名前は「航空従事者技能証明」です。資格は、飛行機・ヘリコプター(回転翼航空機)・グライダー(滑空機)・飛行船という航空機の種類ごとに分かれていて、飛行機の資格でヘリコプターを操縦することはできません。

Every license an airline pilot needs

エアラインのパイロットに必要な資格の一覧

旅客機で飛ぶには、技能証明のほかにもいくつかの証明が要ります。法律では、乗り組んで操縦する人は技能証明と航空身体検査証明の両方を持っていなければならず、外国との間を飛ぶ国際線の乗務には英語の証明も必要です。まずは全体を1枚の表で見てみましょう。

資格・証明何のためかいつ取るか
事業用操縦士(技能証明。会社によっては准定期運送用操縦士)副操縦士として旅客機を操縦する航空大学校、私立の大学や専門学校、航空会社の訓練の中で
定期運送用操縦士(技能証明)機長として旅客機を操縦する副操縦士として経験を積み、21歳以上・飛行時間1,500時間以上になってから
計器飛行証明計器や管制の指示を頼りに飛ぶ。旅客機の運航に欠かせない事業用操縦士とあわせて(飛行機の定期運送用操縦士などは技能証明に含まれるので、別に取らない)
型式限定ボーイング777、エアバスA320といった機種ごとに操縦するため乗る機種が決まったとき・機種を替えるとき
航空身体検査証明(第1種)体が操縦に差しつかえないことを示す訓練を始める前から。乗務を続けるあいだ受け直す
航空英語能力証明日本と外国の間を飛ぶなど、決められた航行のため日本と外国の間を飛ぶまでに
航空無線通信士(総務省の無線の資格)旅客機の無線で管制などとやりとりするため乗務を始めるまでに

出典:航空法 第25条・第28条・第33条・第34条、航空法施行規則 第54条・第65条の2、電波法施行令 第3条

型式限定は、技能証明に「この機種なら操縦してよい」と書き加えるものです。二人で操縦する旅客機は機種ごとに限定が付くので、ボーイング777の限定を持つ人でも、エアバスA320は操縦できません。

数は多く見えますが、一度にそろえるものではありません。訓練が進むのに合わせて、一つずつ増えていきます。

The order of getting pilot licenses

パイロットの資格を取る順番

資格は、下から順に重ねていくのが基本です。自家用操縦士で操縦の基本を身につけ、事業用操縦士と計器飛行証明で仕事として飛べるようになり、最後に機長のための定期運送用操縦士に進みます。

エアラインのパイロットを目指す場合は、自分で一つずつ申し込むのではなく、学校や会社の訓練の中で順に取っていくのがふつうです。

  • 航空大学校:卒業までに事業用操縦士と計器飛行証明を取ります
  • 私立の大学・専門学校:在学中に操縦の資格まで取れる学校があります
  • 自社養成(航空会社に社員として入り、訓練を受ける方法):入社後、会社の訓練の中で資格を取ります

どの方法でも、乗る機種の型式限定を取って副操縦士として乗務を始め、飛行時間を重ねてから定期運送用操縦士を取り、機長を目指します。方法ごとの違いはパイロットになるにはの記事で、航空会社に入って育ててもらう方法は自社養成パイロットの記事でくわしく紹介しています。

高校生のうちに、自分で資格を取りに行く必要はありません。まずは、どこで訓練を受けるかを考えるところから始めましょう。

License exams and how hard they are

パイロットの資格試験の内容と難易度

技能証明を受けるには、国の学科試験と実地試験の両方に合格します。学科に合格した人だけが、実地試験に進めます。

試験中身
学科試験航空工学・航空気象・空中航法・航空通信・航空法規の5科目。各40分で、70%以上の正解で合格。試験会場のパソコンで受ける方式(CBT:Computer Based Testing の略)で、年6回
実地試験国の試験官が、実際の飛行や模擬飛行装置で操縦の技量を確かめる。学科に合格してから2年以内に受ける

出典:航空法施行規則 第46条の2・別表第三、国土交通省「航空従事者技能証明等に関する事務処理要領」(合格の基準)、国土交通省「航空従事者技能証明等申請・学科試験」

航空大学校を修了した人は、実地試験が行われません。

国が指定した養成施設を修了した人は、実地試験の全部または一部が免除されます。

どちらも有効期間が『修了から1年以内』に限られ、学科試験は国の試験を受けます。

それでも、5科目すべてで7割を取り、さらに国の試験官の前で実際に飛んで見せる試験です。気軽に受かるものではないと考えておきましょう。(国土交通省は合格率について発表していません。)

How long it takes to get licensed

パイロットの資格を取るまでの年数

国の資料では、資格ごとに取得するまでの期間の目安を次のように示しています。

資格期間の目安
自家用操縦士6か月〜
計器飛行証明4か月〜
事業用操縦士1年7か月程度
定期運送用操縦士11年程度

出典:国土交通省「航空大学校の養成に関する検討会 とりまとめ 参考資料」

副操縦士に必要な事業用操縦士は1年7か月程度なのに対し、機長に必要な定期運送用操縦士は11年程度と、大きな差があります。定期運送用操縦士には1,500時間以上の飛行経験が求められるので、副操縦士として乗務しながら経験を積み重ねていくことになります。

11年と聞くと長く感じるかもしれません。でも、副操縦士になった時点で、あなたはもう旅客機の操縦席に座っています。機長を目指す年月は、空で働きながら過ごす時間です。大学などに通う年数も含めた方法ごとの年数は、パイロットになるにはの記事で紹介しています。

How much it costs to get licensed

パイロットの資格を取る費用

国に払う試験の手数料は、事業用操縦士なら学科試験が5,600円、実地試験が56,500円です(航空法関係手数料令。学科はこのほかにパソコン受験の費用がかかります)。費用に大きな差がつくのは試験ではなく、どこで訓練を受けるかです。

方法費用のめやす
自社養成社員として給料を受けながら訓練。訓練費の負担は会社ごとに違う
航空大学校入学料と授業料で約509万円
私立の大学・専門学校訓練費を含めると多くが2,000万円超

出典:航空大学校「令和9年度 学生募集要項」(入学料と授業料を足した額)

航空大学校は、このほかに寮や食事の費用と、入学前に通う大学や短大などの学費がかかります。私立の学校ごとの費用や在学中に取れる資格は、パイロットを目指せる大学・専門学校の記事で比べています。

費用の差は大きいですが、お金がないから無理、とあきらめる必要はありません。給料を受けながら資格を取れる方法があることを、ぜひ覚えておいてください。

Renewal and validity of pilot licenses

パイロットの資格の更新と有効期間

技能証明そのものに、有効期間はありません。法律に違反するなどして取り消されない限り、一度受けた資格はずっと有効です。そのかわり、操縦を続けるには定期的に受け直すものがあります。

受け直すもの間隔
航空身体検査証明(第1種)原則1年。旅客機のように二人で操縦する便では、60歳から半年ごと
操縦の技能の審査(特定操縦技能審査)2年ごと。エアラインのパイロットは、会社が行う定期の技能審査に合格していれば、これに代わる
航空英語能力証明レベル4は3年、レベル5は6年、レベル6は期限なし

出典:航空法施行規則 第61条の3・第63条の5・第162条の3・第162条の4、国土交通省「航空身体検査証明の有効期間」

特に大切なのが身体検査です。技能証明を持っていても、身体検査証明がなければ旅客機には乗務できません。パイロットにとって体の健康は、資格と同じくらい大切な「もう一つの資格」です。視力の基準や検査の中身は、パイロットの視力・身体検査の記事でくわしく紹介しています。

Summary

まとめ

パイロットになるには国の技能証明が必要で、旅客機では副操縦士に事業用操縦士、機長に定期運送用操縦士が求められます。そのほかの計器飛行証明や型式限定、身体検査、英語、無線の証明も、訓練の中で一つずつ取っていくものです。技能証明そのものに期限はありませんが、身体検査や技能の審査は、パイロットでいる限り受け続けます。

資格の種類が多くて驚いたかもしれません。でも、最初から全部を知っている人は、なかなかいません。どのパイロットも、一つ目の資格から順番に積み重ねて、いまの操縦席にたどり着いています。編集部は、資格の多さに尻込みせず、まずは訓練を受ける場所を選ぶところから一歩を踏み出してほしいと思っています。その一歩が、いつか機長の席につながっています。

FAQ about pilot licenses

パイロットの資格のよくある質問

Q. 趣味で自家用操縦士の資格は取れる?

取れます。自家用操縦士は17歳以上で、飛行機なら40時間以上の飛行経験があれば受けられます。学科試験そのものには、年齢や経歴の制限もありません。ただし、お金をもらわずに飛ぶための資格なので、操縦を仕事にすることはできません。身体検査は第1種でなく第2種でもよく、40歳未満なら有効期間は最長5年と長めです。

Q. 海外で取った資格は日本で使える?

外国の資格を持つ人には、日本の技能証明に切り替える手続きがあります。法律では、外国の資格を持つ人について、試験の全部または一部を省けると定めています(航空法 第29条第4項)。どの試験が省かれるかは持っている資格によって違うので、切り替えを考えている人は国土交通省に確かめてください。

Q. 英語はどれくらい必要?

国が資格として求めるのは、英検などの級ではなく「航空英語能力証明」です。日本と外国の間を飛ぶにはこの証明が必要で、レベル4なら3年、レベル5なら6年ごとに受け直し、レベル6は期限がありません。航空無線のやりとりなどで英語を使う場面は多く、学校や会社の選考でも英語の力を確かめられます。目指す先の募集要項で、求められる英語の力を確かめておきましょう。

Q. ヘリコプターの資格は別?

別です。資格は航空機の種類ごとに分かれていて、ヘリコプターは「回転翼航空機」の資格を取ります。必要な飛行時間も違い、自家用操縦士は40時間以上、事業用操縦士は150時間以上(航空大学校や国が指定した養成施設では100時間以上)、定期運送用操縦士は1,000時間以上です(航空法施行規則 別表第二)。

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パイロットの仕事の全体像は、パイロットとはの記事でまとめています。